頭のゆがみの基本 01
赤ちゃんの頭のゆがみとは?
頭のゆがみの種類やゆがみが気になる場合にすべきこと
生後数ヶ月してだんだんと気になってくる赤ちゃんの頭のゆがみ。「頭のゆがみは放っておいてもよい」と言われることもありますが、本当に放っておいてもよいのでしょうか?
また、頭のゆがみにはどんな種類があるのでしょうか?
気になる赤ちゃんの頭のゆがみについて、医師に聞きました。
- 赤ちゃんの頭のゆがみとは、
具体的にどのような状態を指すのでしょうか? - 赤ちゃんの頭のゆがみは、病気や外的な要因などによって頭が左右対称でなかったり後頭部がいわゆる「絶壁」になっていたりと、何らかの変形をきたしている状態を指します。
- 赤ちゃんの頭のゆがみの種類にはどんなものがあるのでしょうか?
- 赤ちゃんの頭のゆがみには、病気によって起こるものと外部からの圧力がかかって変形をきたすものの2種類があります。「頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)」と「位置的頭蓋変形症」です。
- 頭のゆがみには2つの種類があるんですね。
まずは「頭蓋骨縫合早期癒合症」について教えていただけますか? - 「頭蓋骨縫合早期癒合症」は、病気によって生じる頭の変形で、通常よりも早く頭蓋骨がくっついてしまうものです。生まれたばかりの赤ちゃんの頭蓋骨は大人のように一つの骨でできているのではなく、いくつかのピースに分かれています。生後、赤ちゃんの脳頭の成長に合わせるためにそうなっているのですが、頭蓋骨縫合早期癒合症では通常よりも早く頭蓋骨がくっついてしまい、頭の変形が生じてしまうのです。
- なぜ、頭蓋骨縫合早期癒合症では
通常よりも早く頭蓋骨のピースがくっついてしまうのでしょうか? - 単純性の頭蓋骨縫合早期癒合症(頭蓋骨縫合早期癒合症のみ認められ、ほかの原因となるような病気が見当たらない場合)の原因は明らかではありません。ただ、頭蓋骨縫合早期癒合症がアペール症候群と呼ばれる遺伝性の病気の症状のひとつとして現れているケースもあります。アペール症候群では、頭蓋骨縫合早期癒合症のほかに眼球の異常、噛み合わせの異常、手足の指の形の異常、心疾患などの症状が見られることがあります。
- 頭蓋骨縫合早期癒合症のように、
気をつけるべき頭のゆがみもあるんですね。 - そうですね。ですから、お子さんの頭のゆがみが気になったらまずは医師に相談してもらいたいと思います。
- では、次に赤ちゃんのもう一つの頭のゆがみである
「位置的頭蓋変形症」について、詳しく教えていただけますか? - 位置的頭蓋変形症はいつも同じ向きで寝ているなどの「寝ぐせ」が主な原因で、頭がゆがんだ状態を指します。頭蓋骨縫合早期癒合症のように病気が原因によるものではないため、頭蓋骨縫合早期癒合症よりは緊急度の低い頭のゆがみと言えるでしょう。
- 赤ちゃんの頭はどうして「寝ぐせ」でゆがんでしまうのでしょうか?
大人であれば寝る向きが毎晩同じでも、頭のゆがみは起こらないと思うのですが……。 - 赤ちゃんの頭蓋骨は、大人よりもやわらかくできているからですね。これからの脳と頭の成長に備えるために必要なやわらかさなのですが、一方で外部からの圧力の影響を受けやすく、位置的頭蓋変形症が起こりやすいのです。
- 赤ちゃんの頭のゆがみを気にされる親御さんも多いと思いますが、頭のゆがみは必ず治療が必要なのでしょうか?
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赤ちゃんの頭のゆがみの種類や、ゆがみの程度によって異なります。頭蓋骨縫合早期癒合症の場合は手術による治療が必要です。また、頭蓋骨縫合早期癒合症の場合はアペール症候群など他の病気の合併症として頭のゆがみの症状が現れている可能性もあることから、原因となっている病気の治療が必要なケースもあります。
位置的頭蓋変形症の場合は、手術による治療は不要です。軽度のゆがみであれば普段の寝かせ方や抱っこの仕方を工夫することである程度頭のゆがみが気にならなくなることもあります。
ゆがみの程度が強い場合には「ヘルメット矯正」と呼ばれる治療を行う選択肢もあるので、医師と相談しながら決めるとよいでしょう。
- そうなんですね。赤ちゃんのゆがみが気になった場合には、必ず医師の診察を受けたほうがよいのでしょうか?
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一度は医師に相談してみることをおすすめします。赤ちゃんの頭のゆがみの多くは緊急性が低く、赤ちゃんの成長にしたがってゆがみが気にならなくなっていくことが多いです。しかし、なかには治療が必要な頭のゆがみもあります。
位置的頭蓋変形症による頭のゆがみであっても、放っておくと生活に影響が出る可能性もあります。見た目の劣等感だけでなく、帽子やめがねなどが合わせづらい、ゆがみが重度の場合は噛み合わせが悪くなるといった影響も考えられます。
治療が必要かどうかの判断は医師による検査や診断が必要なので、赤ちゃんの頭のゆがみが気になったらまずは一度かかりつけの小児科の医師に相談してください。