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頭のゆがみの基本 03

赤ちゃんの頭のゆがみの原因は遺伝?
赤ちゃんの頭がゆがんでしまう理由

デリケートな赤ちゃんの頭。日々赤ちゃんと過ごす中で頭の形が気になってしまう親御さんもいることでしょう。「家族の頭がゆがんでいるから、赤ちゃんにも頭のゆがみが遺伝しているのかも?」と感じる方もいるかもしれません。今回は遺伝も含めた赤ちゃんの頭のゆがみの原因について医師に聞きました。

赤ちゃんの頭のゆがみについて「遺伝が原因?」と疑問を持つ方もいるようです。頭のゆがみと遺伝の関係について教えてください。
赤ちゃんの頭のゆがみの原因には、遺伝がかかわっている場合とそうでない場合があります。しかし、赤ちゃんの頭のゆがみの多くは「寝ぐせ」などで外部から圧力がかかることで生じるもので、遺伝によるものの場合はまれです。
多くは遺伝によるものではないのですね。遺伝によって頭のゆがみが起こるケースとは、具体的にどのようなケースなのでしょうか。

遺伝子異常によって起こる病気に、アペール症候群やクルーゾン症候群があります。これらの病気の症状のひとつである頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)が頭のゆがみを引き起こすことがあるのです。

頭蓋骨縫合早期癒合症では、頭のゆがみだけでなく赤ちゃんの脳の発達に影響が及ぶ可能性があることから、早めの治療が必要です。

赤ちゃんの頭のゆがみが寝ぐせによるものか遺伝によるものかは、どうしたらわかりますか。
赤ちゃんの頭のゆがみの原因を明らかにするには、医師による検査・診断が必要です。ですから、赤ちゃんの頭のゆがみが気になったらなるべく早い段階で一度医師に相談することをおすすめします。
遺伝ではない頭のゆがみの場合、生まれたあとの寝ぐせによってゆがみが起こるのでしょうか。
はい、多くの場合の頭のゆがみは同じ体勢で寝かせていることによる寝ぐせによるものです。しかし、赤ちゃんの頭はやわらかいため寝ぐせ以外にもさまざまな要因によってゆがみが起こります。
寝ぐせ以外にはどのような原因が考えられるでしょうか。

まず、外部からの圧力による頭のゆがみは産後だけでなく産前、つまりお母さんのお腹の中にいるときから起きている場合があります。

産前の頭のゆがみの原因として挙げられるのは、初産、多胎妊娠、逆子、早産、難産などです。

初産はお母さんの子宮が狭いこと、多胎妊娠は赤ちゃんが一人の場合よりも一人あたりのスペースが狭くなることで頭のゆがみが生じやすくなります。逆子も、骨盤の骨によって外部の圧力から守られる頭位(頭が子宮口を向いている胎位)と比べて出産時まで外部の圧力の影響を受けやすく、頭のゆがみが生じたまま生まれる可能性が高まります。

出産時も頭のゆがみが起こりえます。難産により長い時間産道に頭を挟まれることでゆがみを生じるだけでなく、吸引分娩時に頭をひっぱることでゆがんでしまうこともあるのです。また、早産の場合は赤ちゃんの頭蓋骨が正常に生まれた赤ちゃんよりもさらにやわらかいことから、よりゆがみが起こりやすい状況にあります。

妊娠中や出産時に赤ちゃんの頭のゆがみが起こることもあるのですね。出産後の頭のゆがみの原因としては何が考えられますか。
先ほど挙げたように「寝ぐせ」は赤ちゃんの頭のゆがみの一般的な原因です。赤ちゃんは多くの時間を寝て過ごしますから、いつも同じ向きで寝ていると頭の同じ面ばかり圧迫されてしまい、頭のゆがみが起こります。
大人では毎日同じ向きで寝ていても頭のゆがみは起こらないと思いますが……。
繰り返しになりますが、赤ちゃんの頭は脳の成長に対応できるよう、大人よりもやわらかくできています。そのため大人では影響のない圧力でも頭がゆがんでしまう事があるのです。
赤ちゃんの頭はとてもデリケートなのですね。寝ぐせによる頭のゆがみを起こさないためにできることはありますか。

寝る向きを頻繁に変える、抱っこの際の向きも一定にせず変えるといった工夫をするとよいとされています。

それでも赤ちゃんが同じ方向を向いてしまう場合は筋性斜頚(きんせいしゃけい)が考えられます。

筋性斜頚とは何でしょうか。

後頭部と鎖骨・胸骨をつなぐ胸鎖乳突筋という筋肉がこわばってしまい、常に左右どちらかに首をかしげた状態のことです。筋性斜頚の赤ちゃんは同じ方向しか向くことができないので、それが頭のゆがみを助長してしまいます。

ただし、筋性斜頚の80〜90%は生後1歳半までには自然に治ると言われているので、筋性斜頚そのものについては大きな心配は必要ないでしょう。

一口に赤ちゃんの頭のゆがみの原因といっても幅広いのですね。この記事を読んでいる方には赤ちゃんの頭のゆがみを気にされている方が多いと思います。お子さんの頭のゆがみが気になるとき、受診の目安はありますか。また、何科を受診したらよいのでしょうか。

赤ちゃんの頭のゆがみが気になったら、基本的には様子見をせずまずは一度受診することをおすすめします。頭のゆがみの一部には、今回紹介したような赤ちゃんの発育にかかわる病気によるものもあるからです。

また、受診先は小児科がよいでしょう。そこから必要に応じて脳神経外科や形成外科などを紹介してもらえるケースもあります。いくつかの病院では「小児脳神経外科外来」「赤ちゃんの頭外来」といった赤ちゃんの頭についての専門の外来を設けているところもあります。

赤ちゃんの頭のゆがみが気になったら早めに相談することが大切なのですね。
そうですね。昔は「赤ちゃんの頭のゆがみはよくあることで、自然に治るから様子見をしていてもいい」と言われることもありました。しかし、中には治療が必要なケースもあります。早めに受診することが適切な治療につながるため、一人で抱え込まずに医師に相談してください。

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お話を聞いた先生

橋都浩平先生

橋都 浩平(はしづめこうへい)先生

東京大学医学部医学科卒。日本赤十字社医療センター小児外科部長、
東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。
同院を退任後、ドリームインキュベータ常勤監査役等を経て、
現在はジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役及びメディカルノート社外取締役。
これからの医療には産業界との連携が必要不可欠と考え、医療人と企業人、
双方の視点から医療の進歩に日々貢献している。