診察のご相談や治療に関するお問い合わせはコチラ
03-6555-5015

お問い合わせ03-6555-5015

頭のゆがみと発育 01

単なるゆがみではない?
健康に影響のある赤ちゃんの頭のゆがみと対処法は

赤ちゃんの頭のゆがみにおいて見た目が気になるのはもちろん、健康に影響がないか気になる方も多いでしょう。デリケートな赤ちゃんの頭だからこそ、健康への影響がないか知っておきたいところ。赤ちゃんの頭のゆがみは見た目だけでなく健康にも影響があるのでしょうか。赤ちゃんの頭のゆがみと健康上のリスクについて医師に聞きました。

赤ちゃんの頭のゆがみによって、健康面で問題が生じることはないのでしょうか?赤ちゃんの頭というデリケートな部位だけに、心配される親御さんも多いと思いますが……。
健康面で問題が生じる可能性があることがわかっています。頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)などの病気による場合や、寝ぐせ、向きぐせによる頭のゆがみであっても健康上の問題が生じるケースがあることが指摘されています。
病気による頭のゆがみが健康に影響を及ぼすことは理解できるのですが、寝ぐせや向きぐせによる頭のゆがみも健康に影響があるケースがあるとは驚きました。

実は、最近まで寝ぐせや向きぐせによる頭のゆがみは健康上の問題はないと考えられていたのです。頭のゆがみ自体も生後6カ月頃の自然に首がすわる時期になれば、必然的に今までよりも頭が床についている時間が短くなることから、自然にゆがみが改善するとの見方が強くありました。そのため、頭のゆがみへの積極的な治療は行われていませんでした。

しかし最近では寝ぐせ、向きぐせによる頭のゆがみと赤ちゃんのその後の神経発達、運動発達の遅れについて指摘する研究報告が海外から出ています。

運動発達の遅れ、神経発達の遅れというのは具体的にどのように現れるのでしょうか?

まず、運動発達について説明しましょう。運動発達は赤ちゃんの体の動きにかかわる発達です。赤ちゃんの多くは1歳頃までに定頚(首がすわること)、おすわり、歩行ができるようになり、運動機能がめざましく成長します。

一般的には定頚は生後3〜4カ月頃、おすわりは7〜8カ月頃、歩行は1歳過ぎでできるようになる赤ちゃんが多いですが、大きく時期が遅れるようであれば運動発達の遅れがある可能性があります。

精神発達は、人への興味関心、言葉の習得など主に社会的能力にかかわる発達です。

一般的には2歳頃までには「パパ」「ママ」などの意味のある言葉を話したり、話しかけた際に視線をこちらへ向けてくれたりといったことができるようになります。しかし、2歳を過ぎても意味のある言葉を話さない、あやしてもあまり反応しないなどの場合には、精神発達の遅れの可能性も考慮しなければなりません。

ただし、これらの発達の時期はあくまで目安であり、時期が多少遅れているからといって必ず発達の遅れがあるとは限りません。発達には個人差があるからです。

しかし、頭のゆがみに加え、発達の遅れも気になったら早めに医師に相談することをおすすめします。

頭のゆがみと合わせて発達の遅れが気になるときは注意が必要なのですね。頭のゆがみが健康に影響を及ぼすことはわかったのですが、見た目への影響はどうでしょうか。
頭のゆがみを気にされる親御さんの多くが見た目への影響を気にされています。赤ちゃんの頭のゆがみが軽度の場合、赤ちゃんが自分で寝返りを打てるようになる頃から気にならなくなることがあります。しかし、ゆがみが強い場合にはゆがみが生じている方向へさらに向きぐせが固定されてしまい、頭のゆがみが進行してしまうこともあり、注意が必要です。
赤ちゃんの頭のゆがみが進むとどのような見た目の影響があるのでしょうか。
ゆがみが進むと、目の位置や耳の位置の左右非対称や耳の変形、顔面のゆがみ、歯並びの悪さなどが現れます。もちろんすべての変形が現れるわけではありませんが、一目見ただけでわかるゆがみは治療が必要と考えるべきでしょう。
頭の骨だけでなく、首から上のさまざまな部位に影響を及ぼす可能性があるのですね。こうした見た目の影響によって、何か生活上のリスクが起こることはあるのでしょうか。

見た目の変化が、健康面に影響を与える可能性があります。目の位置が非対称だと斜視や視覚障害のリスクが生じます。歯並びが悪ければ十分な歯磨きを行えないことによる虫歯や歯周病のリスクも考えられるのです。

また、子どもが自分の見た目を気にする時期になると、頭のゆがみをコンプレックスに感じてしまうことで満足な生活を送れなくなる可能性もあります。

赤ちゃんの頭のゆがみは「たかが頭のゆがみ」では済まされないケースもあるのですね。赤ちゃんの頭のゆがみが気になったらどうすればよいのでしょうか。
まずは一度、かかりつけの小児科の医師に相談してください。赤ちゃんの頭のゆがみの原因が、病気による可能性もあるからです。頭のゆがみが病気に起因するものであれば、原因となっている病気の治療を受ける必要があります。
もし、病気による頭のゆがみではない場合、治療は受けなくてもよいのでしょうか。
赤ちゃんの頭のゆがみの程度によっては、先ほど紹介した健康面への影響のリスク、見た目への影響のリスクを考慮して治療を受けたほうがよいケースもあります。
受診は生後何ヶ月頃がよいなど、受診の目安はありますか。

頭のゆがみが気になった段階での早期の受診が望ましいです。治療の観点から述べると、まだ頭の骨がやわらかい生後6カ月までだと治療がしやすいです。そのため、遅くとも生後6カ月頃までの受診をおすすめします。

と言っても、生後6カ月を過ぎていたとしても、頭のゆがみが気になるようであれば早めに医師に相談しましょう。

頭のゆがみの治療にはどのようなものがありますか。

病気でない頭のゆがみでは「ヘルメット治療」と呼ばれる治療を行います。ヘルメット治療は赤ちゃんの頭の形に合わせた専用のヘルメットを作成し、一定期間かぶることで頭の形を矯正する治療法です。この治療には十分な効果を見込むための最適な開始時期があり、生後4〜6カ月の間に始めることが望ましいです。

ヘルメット治療のほかにも、頭のゆがみが軽い場合は同じ姿勢を取り続けないための工夫によってゆがみが改善することもあります。抱っこの向きを変える、おもちゃであやして頭の向きを変えさせる、親御さんの見ているところで腹ばいにさせるなどです。

赤ちゃんの頭のゆがみは治らないものではなく、適切な治療によって改善を図ることができます。一人で悩んだりご自身を責めたりせず、まずは医師に相談して一緒に頭のゆがみへの対処法を考えましょう。

コラム一覧に戻る

お話を聞いた先生

橋都浩平先生

橋都 浩平(はしづめこうへい)先生

東京大学医学部医学科卒。日本赤十字社医療センター小児外科部長、
東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。
同院を退任後、ドリームインキュベータ常勤監査役等を経て、
現在はジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役及びメディカルノート社外取締役。
これからの医療には産業界との連携が必要不可欠と考え、医療人と企業人、
双方の視点から医療の進歩に日々貢献している。