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頭のゆがみの基本 04

向き癖や絶壁、頭のゆがみは放っておいてもいい?
医師にきいてみた

「いつも赤ちゃんが同じ方向ばかり向いていて、頭がゆがんでしまわないか」と心配になる保護者の方は多くいます。赤ちゃんの向き癖を直そうと思ってもなかなかうまくいかずに大変な思いをされている方もいるかもしれません。「向き癖は仕方ない」「多少、頭がゆがんでいても問題ない」との周囲の声に戸惑うこともあるでしょう。そこで今回は赤ちゃんの向き癖や頭のゆがみについて医師にお話をうかがいました。

赤ちゃんの向き癖がひどく、頭のゆがみが気になる方が多いようです。けれど、家族に相談しても「赤ちゃんの頭のゆがみは放っておいても自然に治るから気にしなくていい」と言われるケースもよくあるようで……。本当に赤ちゃんの頭のゆがみは放っておいてもいいのでしょうか?

赤ちゃんの頭のゆがみを「自然に治るから」と自己判断で放っておくことは勧められません。頭のゆがみを放っておくことでゆがみがさらに進行し、見た目だけでなく健康にも影響が及ぶ可能性があるためです。

また、まれではあるものの「頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)」などの先天的な病気で頭のゆがみが起きていることもあります。

赤ちゃんの頭のゆがみを放っておくことはよくないのですね。
はい。ですから、お子さんの頭のゆがみが気になったら早めに小児科の医師に相談することをおすすめします。わざわざ大病院に行かなくても,かかりつけの先生でもかまいません。最近では赤ちゃんの頭のゆがみについての専門外来もあるので、専門外来で相談する方法もあります。
まずは相談することが大事なのですね。ところで、赤ちゃんの向き癖と頭のゆがみは関係があるのでしょうか?

向き癖は頭のゆがみの原因として一般的なもので、よくある原因です。向き癖が起こる原因には大きく2つあります。

ひとつは子宮内や出産で生じた頭の変形によるもの。もうひとつが斜頚(しゃけい)と呼ばれる、首が一方向に傾いた状態によるものです。

まず、子宮内や出産で生じた頭の変形による向き癖について教えてください。

赤ちゃんの頭はとてもやわらかくできています。なぜかというと、狭い産道を通ったり、生まれた後の脳の成長に対応したりする必要があるからです。しかしその頭のやわらかさゆえ、大人では変形しないちょっとした外部の圧力で簡単に変形してしまいます。

お母さんのお腹の中や生まれるときに頭のゆがみが生じ、ゆがみの程度が強い場合、赤ちゃんは自然と頭の収まりのよいほうを向いて、つまりゆがみが起きている面を下にして寝てしまうのです。これが習慣化すると向き癖となり、さらに赤ちゃんの頭のゆがみを助長することとなります。

生まれたときにすでにあった頭のゆがみのせいで向き癖がついてしまうとは驚きです。一方、斜頚による向き癖とは何でしょうか?

斜頚とは、先ほどもお話ししたように赤ちゃんの首が左右どちらか一方に傾いた状態を言います。斜頚はさらに4種類にわかれており、先天性筋性斜頚、骨性斜頚、炎症性斜頚、眼性斜頸があります。

この4つの中で一番多いものが、先天性筋性斜頚です。先天性筋性斜頚は後頭部と鎖骨、胸骨をつないでいる胸鎖乳突筋と呼ばれる筋肉が生まれつきこわばることで首が傾きます。

先天性筋性斜頚は治療が必要なのでしょうか?
先天性筋性斜頚の多くは自然に治ると言われます。実際、1歳半までには8割から9割が自然治癒すると見込まれているため、過剰に心配することはないでしょう。
いつも仰向けで寝ているか横向きで寝ているかなど、向き癖によって頭の形も変わると聞きましたが本当ですか?

はい。向き癖の方向によって頭の形は変わります。仰向けで寝ていると短頭症、いわゆる「絶壁」になりやすく、横向きに寝ていると頭が縦に細長くなる長頭症になりやすくなります。

最も多い頭のゆがみが斜頭症です。斜頭症は後頭部が斜めに左右非対称にゆがんだ状態を指します。斜頭症の場合はさまざまな要因で起こることが多く、一概にこの寝方だから斜頭症になりやすい、とは言い切れません。

向き癖による頭のゆがみの治療にはどんなものがありますか?

大きく2つの方法があります。ヘルメット治療と体位変換です。

ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭の形に合わせたオーダーメイドの矯正用ヘルメットを約6カ月間かぶることで頭のゆがみの改善を図る治療法です。病院で医師の指導のもと行われます。まだ頭蓋骨がやわらかい生後2ヶ月から6ヶ月あいだに治療を始めるとよいと言われています。

体位変換とは、頭の向きや姿勢を変えることで頭のゆがみの改善を試みるものです。おもちゃで気をひいたり抱っこの向きが偏らないようにしたりすることで、一定の姿勢をとらないようにします。生後3カ月未満の場合、または頭のゆがみが軽い場合には体位変換を行いながら様子をみることがあります。

体位変換では、うつぶせ寝をさせないようにしてください。うつぶせ寝には、予兆や既往歴がないまま原因不明で突然赤ちゃんが亡くなってしまう乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがあるからです。

最後に、赤ちゃんの頭のゆがみに悩む保護者の方へメッセージをお願いします。

赤ちゃんの頭のゆがみが気になるけれど、頭のゆがみで病院を受診してよいのか悩む保護者の方は多くいます。しかし、赤ちゃんの頭のゆがみの中には大きな病気が背景にあったり、発育に影響が及んだりする場合もあります。

「頭のゆがみぐらいで……」と思わず、まずは一度かかりつけの小児科の先生に相談しましょう。

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お話を聞いた先生

橋都浩平先生

橋都 浩平(はしづめこうへい)先生

東京大学医学部医学科卒。日本赤十字社医療センター小児外科部長、
東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。
同院を退任後、ドリームインキュベータ常勤監査役等を経て、
現在はジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役及びメディカルノート社外取締役。
これからの医療には産業界との連携が必要不可欠と考え、医療人と企業人、
双方の視点から医療の進歩に日々貢献している。