News

【プレスリリース】2025年5月より地方独立行政法人那覇市立病院において、小児頭蓋矯正治療の専門医師がジャパン・メディカル・カンパニー社製のヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」を用いた治療を開始しました

2025.05.08
2025年5月より地方独立行政法人那覇市立病院(以下那覇市立病院)「赤ちゃんの頭のかたち外来」において、株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO大野秀晃、以下当社)が開発・製造する赤ちゃんの頭のかたちを矯正するヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」を用いた頭蓋矯正治療が開始しました。

赤ちゃんの頭のかたち(歪み)に対する治療等についての社会的関心が高まる中、沖縄県における周産期医療の専門的な基幹施設である那覇市立病院の「赤ちゃんの頭のかたち外来」において、小児頭蓋矯正治療における専門医師が初診から卒業まで診療を行う本格的なヘルメット治療が受けられるようになりました。
同院の脳神経外科専門医の先生方が、初診から治療終了まで一貫して責任を持ち、お子様の頭のかたちの矯正治療を行う外来です。
5月より開始した当社製ヘルメットによる小児頭蓋矯正治療では、ヘルメット治療をサポートするために必要な技能を身に着けた当社専門スタッフが参画し、医師とともに、那覇市立病院の院内でヘルメットの処方や調整を行い、初診より卒業まで赤ちゃんおよびご家族に寄り添ったオーダーメイドのサービスを提供します。
那覇市立病院では、毎診察時に専門医師が赤ちゃんの頭蓋の成長発達およびヘルメット治療の治療効果を確認します。その上で、赤ちゃんの成長に合わせてヘルメットを調整するため、ヘルメットのインナークッションを受診毎に交換します。医師の指示による、1人1人の赤ちゃんに合わせたインナークッションの調整と交換は、ヘルメット作製時だけではなく、治療の間も常にオーダーメイドであることを実現します。
那覇市立病院にて診療を担当する専門医の豊見山先生と松山先生は、赤ちゃんの頭のかたちとヘルメット治療に関する医師同士の学び合いの場である当社主催の「位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会(※)」に参加するとともに、ヘルメット治療の先行施設(大学病院)の見学も行っています。
当社が「第5回 位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」を2024年12月22日に開催

「赤ちゃんの頭のかたち外来」を担当する医師について

那覇市立病院 脳神経外科 副病院長 豊見山 直樹先生
【経歴】
1990年 琉球大学医学部医学科卒業
1997年 琉球大学大学院 医学研究科終了(医学博士)
中部徳洲会病院、県立宮古病院、県立那覇病院をはじめとした県内各地の病院に勤務
2004年 那覇市立病院 入職
2016年 那覇市立病院 脳神経外科総括部長
2020年 那覇市立病院 副院長
【資格・学会活動など】
日本脳神経外科学会 専門医・指導医

那覇市立病院 脳神経外科 科長 松山 美智子先生
【経歴】
2005年 琉球大学医学部医学科卒業
2005年 那覇市立病院 入職
【資格・学会活動など】
日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本神経内視鏡学会技術認定医

【先生よりコメント】
赤ちゃんの頭蓋骨は成人と異なり、いくつかのパーツに分かれていて、それぞれの骨は非常に薄く、やわらかいです(生後すぐにはわずか数ミリの厚さしかなく、我々の手の指の爪くらいのイメージです)。成長するにつれ、隣同士の骨は徐々に一体化し、硬くて分厚い大人の頭蓋骨(成人の頭蓋骨の厚さは1~2センチ)へと近づいていきます。
そのため、頭蓋骨がやわらかい生後数か月の間は、「向きぐせ」によるゆがみ(以下位置的頭蓋変形)が生じやすい状態です。
また、稀ではありますが、「骨の病気」などの何らかの疾患によって頭の形が歪んでしまうことがあります。隣同士の骨が異常に早く一体化してしまう病気(頭蓋骨縫合早期癒合症)がその代表で、この場合、頭蓋骨が大きく成長できず、脳の発達に悪影響を及ぼすことがあり、場合によっては早期の手術が必要となることもあります。
このように、赤ちゃんの頭の形が歪んでいる場合、それが病気によるものか、それとも病気でないものか、適切な医師の診断を受けることがとても重要です。
赤ちゃんの頭の形がゆがんでいることを気にして受診される方のうち、大多数は位置的頭蓋変形であり、その場合、脳の発達や成長には影響はありません。位置的頭蓋変形とは、赤ちゃんがいつも同じ方向を向いて寝ることや、母親のお腹の中でのさまざまな要因(多胎妊娠など)で、後頭部が平らになったり左右非対称になったりする状態です。この状態は病気ではなく、脳機能の発達に影響が出ることは基本的にありません。
変形が軽い場合は、赤ちゃんが成長し頭が大きくなったり自分で寝返りするようになったりする中で自然に治ることが期待できます。寝返りするようになる前は、頭部の向きを工夫したり、タミータイムと呼ばれる見守り下でのうつ伏せの時間を増やしたりすることで改善が見込めます。
しかしながら、変形が強くなった場合には、耳やおでこ、目、頬、あごの形にもゆがみが生じることがあります。このような場合、先ほど述べた方法だけでは治りにくく、大人になってもゆがみの名残が残ってしまうこともあります。こうしたケースでは、ヘルメットを使った矯正治療が効果的であることがわかっています。海外では1900年代から、日本では2012年から保険外の診療として行われており、効果を示す研究もあります。
沖縄県では今までヘルメットによる矯正治療を提供する施設がなく、治療を希望するご家族は県外の施設へ通院する必要がありました。当院で赤ちゃんのあたまのかたち外来を開設することで、県内で治療を受けることが可能になりました。