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累計30万ダウンロードを突破!グッドデザイン賞受賞の「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」ー国際論文誌で精度検証も実証、医療現場と家庭での活用が拡大ー

2025.09.05
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO 大野秀晃、以下当社)が自社開発した国内初(※注)の「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」(以下当アプリ)が2025年7月時点で累計30万ダウンロードを突破しました。
当アプリは、赤ちゃんの頭蓋形状をスマートフォンで簡便かつ高精度に計測できる国内初のシステムです。医師による精度検証も完了しており、赤ちゃんの頭の歪みの度合いを可視化するとともに、適切なタイミングでの医療機関の受診を促し、適正な治療選択をサポートしています。
※注:2022年開発当時

■ アプリ開発の背景
開発の最大の理由は「赤ちゃんの頭の歪みは、専門医に早期相談」という新しい概念の啓蒙です。日本での新生児出生数は年間約70万人。そのうち、頭蓋変形が見られる子どもは20%程度の年間15万人程度と推定されています。しかし、日本では「頭のゆがみ=疾病の可能性」という認識が一般の生活者はもちろん、新生児・小児医療の現場にも充分に普及していません。
頭のゆがみは、整容面の問題のみならず、頭蓋縫合早期癒合症等を筆頭とする病的頭蓋変形の場合は、その程度によって運動発達や精神発達の面において、赤ちゃんの一生を大きく左右する可能性があります。病的頭蓋変形は、外科手術での治療を必要とすることもあり、また、位置的頭蓋変形の場合はヘルメット矯正治療などの手段を用いて治療を行いますが、いずれのケースでも治療が行える期間は限定的で、早期発見が鍵となります。
「自然に治るだろう」「医師に相談するほどではない」などの思いこみや誤解によって、貴重な治療期間を逸するケースも多くあります。「なぜ早く専門医に相談しなかったのか?」と後悔を抱き続けるご家族もいます。そのような背景を基に、当アプリは、「頭の歪みへの意識変革」を目的として開発を行いました。

■ 医療機関との共同研究で信頼性を実証
当アプリの開発段階より、医療に関係するサービスとなることから、科学的根拠の必要性を痛感しておりました。念願の精度検証については、自治医科大学附属さいたま医療センターの医師を中心とする一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の臨床研究チームとともに、株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーが共同研究を実施し、その検証結果が国際電気学会誌「IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering」(IEEE刊)に掲載されました(DOI: 10.1002/tee.70039)。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/tee.70039

実証的な精度データの取得と国際的な査読付き学術誌での発表という形で、この研究では世界で初めてこのようなアプリの科学的妥当性が示されたこととなります。
なお、当アプリはCVAIやCIなどの定量的指標を自動算出する機能は備えておらず、重症度等の診断には使用できません。医療機器には該当せず、確定診断や治療指針の決定には使用されませんが、乳児健診や保護者による観察の一助となることを目的に開発されました。現在は上記のような高い精度評価も受けていることから、臨床利用も開始されています。

【臨床研究】

【精度評価】

【臨床利用】

【科学研究費助成事業採択】

■ 医療現場・家庭双方での利用拡大
当アプリは、医療機関における診療サポートツールとしての活用が進む一方で、保護者が自宅で日常的に赤ちゃんの頭のかたちを把握できるセルフチェック機能も搭載しています。
さらに、アプリ内では測定結果に基づいて早期に医師相談や医療機関受診を促す仕組みを実装。これにより、受診時期の遅れによる治療機会の損失を防止することが可能となっています。

│アプリを活用した共同研究を行っている先生よりコメント

慶應義塾大学 小児科学 教授
鳴海覚志先生
慶應義塾大学医学部では「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」の匿名データを用いて、日本人の赤ちゃんの頭の形の時間的変化の研究を行っています。例えば、早産で生まれた赤ちゃんは頭の形が長くなりますが、アプリデータの解析によると、時間経過によって徐々にこの特徴が目立ちにくくなることがわかりつつあります。今後も共同研究を通じて、臨床現場で役立つ情報を発信していきたいと考えています。


自治医科大学附属さいたま医療センター 新生児科
中張 惇子 先生
現在、乳児を対象とした「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ™️」(以下、アプリ)と3Dスキャナーの測定結果を比較する臨床研究を進めています。頭のかたち外来では、研究開始当初に比べ、「アプリで測定して受診を決めた」というご家族が増えており、クリニックの医師からはアプリを使用して測定しているという声も聞かれるようになりました。疾患概念やアプリの認知が広がっていることを実感しています。頭部モデルを用いた精度検証では、アプリがスクリーニングツールとして十分な信頼性を持つことが示されており、現在進行中の臨床研究によって、医療現場におけるさらなる活用が期待されます。今後は家庭でのセルフチェックにとどまらず、乳児健診や助産師・保健師による育児支援の場でも活用され、早期発見・早期介入の一助となることを期待しています。

■ 今後の展望
当社では、今後も「赤ちゃんの頭のかたち測定アプリ」の研究・開発・応用をさらに進め、アプリを通じて得られる膨大な計測データを活用し、乳児の頭蓋発達に関する疫学的解析を推進してまいります。これにより、乳児頭蓋変形の早期発見のみならず、予防医療の実現にも寄与することを目指しています。
実際に当アプリをご利用いただいた親御様からは、

「アプリで手軽に頭蓋変形の程度がわかり、安心できた」
「客観的に頭のかたちを確認できたことで、医療機関を受診するきっかけになり、気持ちが軽くなった」

といった声が多数寄せられています。
当社は、こうしたポジティブな体験をより多くのご家庭に届けるため、アプリを通じた正確な情報提供と医療機関との適切な連携を強化してまいります。
今後も、赤ちゃんのご家族が安心して成長を見守ることができる社会の実現を目指し、技術開発と医療サポートの両面から貢献を続けてまいります。