【九州大学×JPMC】「一度きりの手術体験」を、共有・反復可能な「手技トレーニング」へ。個別腫瘍を再現した「博多モデル」開発の共同研究を開始
九州大学大学院医学研究院 脳神経外科(福岡県福岡市)と、株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO 大野秀晃、以下当社)は、個別症例の腫瘍(病変)を高精度に再現し、多様な手術アプローチを統合的に検討可能にする次世代医療模型プラットフォーム、通称「博多モデル」を進化させるための共同研究を開始いたしました。
「博多モデル」は、九州大学大学院医学研究院 脳神経外科、福岡大学医学部 脳神経外科学、および当社の三者による共同開発から生まれた精密医療用立体模型をベースとしています。今回の共同研究は、九州大学の極めて高い臨床・研究・教育レベルを背景に、この「博多モデル」に個別症例の腫瘍等を組み込み、高度な手技トレーニングへと昇華させることを目的としています。
従来の脳神経外科において、特定の患者様が抱える複雑な腫瘍や病変は、執刀医やそのチームが「その一度の手術」でのみ経験できるものでした。
今回の共同研究では、九州大学の厳格な教育基準と高度な臨床知見を、当社の精密医療用立体模型の開発製造技術で具現化することで、この限界を突破します。
- 症例のトレーニング化:九州大学の監修により、腫瘍と神経・血管の位置関係を極めて高い精度でモデル化。これにより、特定の症例をベースとした高度なトレーニングが可能になります。
- 反復と共有の実現:今までは「一回しか経験できなかった症例」を、同じ腫瘍モデルで何度も練習したり、異なる医師が、異なる場所で、異なる時間で、トレーニングすることを可能にします。
- 専門領域の統合と可視化:顕微鏡、内視鏡、外視鏡といった多様なアプローチを同一モデル上で物理的に可視化。各術式の長短を客観的に比較・検討し、チーム全体で最適解を共有できるプラットフォームへと「博多モデル」を進化させます。
「博多モデル」開発の具現化を支えるのは、当社の精密医療用立体模型「KEZLEX(ケズレックス)」です。 1897年に東京で創業し130年におよぶものづくりの歴史を礎とし、医療模型事業として30年の歴史を歩んできた「KEZLEX」は、その圧倒的な再現性の高さから、日本神経内視鏡学会やIFNE(国際神経内視鏡連盟)の公式ハンズオンセミナーでも長年採用されています。
手技の習得、向上には献体(キャダバー)実習にまさるものはありませんが、同実習では物理的に困難であった「腫瘍を含めた個別症例の反復練習」という、臨床現場が長年求めてきた理想を形にすることができました。
- 個別症例に基づく高度な反復トレーニング:術前に患者に特異的な腫瘍モデルを用い、納得がいくまで手技を繰り返すことで、手術の確実性を極限まで高めます。
- 個別症例に基づく高度な反復トレーニング:術前に患者に特異的な腫瘍モデルを用い、納得がいくまで手技を繰り返すことで、手術の確実性を極限まで高めます。 教育の均てん化と裾野拡大:貴重な症例をモデルとして資産化し、場所や時間を選ばずトレーニング可能な環境を構築。次世代の専門医育成を強力に支援します。
- 個別症例に基づく高度な反復トレーニング:術前に患者に特異的な腫瘍モデルを用い、納得がいくまで手技を繰り返すことで、手術の確実性を極限まで高めます。 手術戦略の多角的共有:顕微鏡・内視鏡・外視鏡の専門家が同一モデルを囲み、アプローチの特性を検討・共有。合併症低減に向けたチーム医療の質を向上させます。
- 個別症例に基づく高度な反復トレーニング:術前に患者に特異的な腫瘍モデルを用い、納得がいくまで手技を繰り返すことで、手術の確実性を極限まで高めます。 「博多モデル」の国際標準化:日本発の多角的な教育・評価プラットフォームとして、本研究から得られる知見を世界へ発信します。
九州大学大学院医学研究院 脳神経外科 教授 吉本幸司先生将来的にはこのモデルを使用して、手技プロセスを記録・解析後、教育効果を検証し、外科教育のエビデンス創出と患者安全の向上に学術的に貢献したいと考えます。
九州大学大学院医学研究院 脳神経外科 講師 空閑太亮先生さらに本モデルの大きな特長は、場所を選ばず同一条件のトレーニングを継続できる点であり、若手教育の裾野拡大にも資すると考えます。加えて、術前の到達経路の検討、手術戦略の共有、合併症に対する対応訓練にも有用で、合併症低減と患者安全の向上に貢献できると期待しています。
本共同研究の共同研究者である空閑太亮先生は、当社の精密医療用立体模型「KEZLEX」を用いた国際神経内視鏡連盟(IFNE 2025)でのハンズオンセミナーにおいて、内頚動脈(ICA)損傷モデルを用いた止血トレーニングのセッションに参画するなど、国際的な教育の現場でも当社模型を活用されてきました。さらに、2024年4月には九州大学と福岡大学の二校による合同ハンズオンセミナーでも「KEZLEX」が使用され、参加医師から再現性や削り心地に関する評価が寄せられています。こうした実地教育の場での継続的な接点を背景に、九州大学との共同研究では、臨床ニーズに即したモデル開発と評価を共同で進め、手技教育と術前計画支援の高度化につなげてまいります。
【参考】
- 脳神経外科教育と小児頭蓋医療の両輪で革新:ジャパン・メディカル・カンパニーがIFNE 2025(オーストリア・グラーツ)でハンズオンセミナーと頭蓋健診・ヘルメット治療に関するランチョンセミナーを共催
- 2024年4月27日(土)に九州大学・福岡大学でジャパン・メディカル・カンパニー社製の医療模型を用いたハンズオンセミナーが開催
当社は「世界にまだない、選択肢をつくる。」というコーポレートミッションのもと、多岐にわたる共同研究を推進しています。
◼︎2025年度までの共同研究の取り組み(抜粋)
・乳幼児の頭蓋変形のリスク要因の検討
・位置的頭蓋変形の長期予後の調査
・日本人の平均前頭形態の検討
経鼻内視鏡手術シミュレーションモデルの開発と手術技能習得効果の検証
当社は医療機関・研究者の皆さまと連携し、臨床現場の課題解決に資する共同研究を推進しています。特に、手術前シミュレーションや手技教育の高度化を目的とした医療模型(立体精密医療模型)の領域では、患者個別の解剖学的特徴や病態を再現するための設計・造形・材質選定のノウハウを蓄積し、実操作に近い環境でのトレーニングを支える取り組みを継続しています。
当社の前身である大野興業から続く東京での130年に及ぶものづくりの歴史の中で培われた、精度・再現性・品質管理に関する技術基盤は、医療の現場で求められる「確かな再現」を担保するための中核です。当社は、この技術と臨床の知見を接続し、実装可能な形で医療現場に還元することを重視してきました。今後も関係機関の皆さまと連携しながら、医学的根拠に基づく教育・診療環境の整備を加速させ、医療の質の向上に貢献してまいります。