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【プレスリリース】日本式の「赤ちゃんの頭のかたち」矯正治療(ヘルメット治療)が海外へ進出/ジャパン・メディカル・カンパニー社製のヘルメットを用いた頭蓋矯正治療がシンガポールで開始

2025.01.07
シンガポール最大の女性・小児医療専門の公立病院であるKK Women’s and Children’s Hospitalの小児科において、株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO大野秀晃、以下当社)が開発製造する、赤ちゃんの頭のかたちを矯正するヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」を用いた頭蓋矯正治療が始まりました 赤ちゃんの頭のかたち(歪み)に対する治療は2000年代にアメリカで始まり、世界的に見ても一定の市民権を得た治療となっています。
2024年12月からシンガポールにある唯一にして最大の女性・小児医療専門の公立病院であるKK Women’s and Children’s Hospital(以下、KKH)の小児科において、当社製ヘルメットを用いた頭蓋矯正治療が始まりました。頭蓋矯正用ヘルメットを製造・販売する企業が世界中にある中で、当社製ヘルメット「QurumFit(クルムフィット)」の開発までのストーリーや製品の品質の高さ、そして、日本国内での大学病院・子ども病院や、「0歳からの頭のかたちクリニック」での合計16,000症例を超える実績をご評価いただき、シンガポール国内での正式な入札手続きを経ての採用となりました。 KKHでのヘルメット治療開始にあたっては頭蓋健診とヘルメット治療に携わるKKHスタッフ(小児科医、理学療法士、義肢装具士)合計4名が2024年10月初旬に来日。約1週間にわたり各種研修や勉強会に参加し日本発となる「適正な頭蓋健診および頭蓋矯正治療」についての学びを深めました。
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の理事と監事が行う研修に参加
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会の理事と監事よりコメント

一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会理事長
東京医療保健大学・大学院教授
楠田聡先生
乳児の頭蓋変形に対して、シンガポールKK Women’s and Children’s Hospital(KKH)でジャパン・メディカル・カンパニー社が作製する日本製のヘルメットを使用して、2024年12月から治療が実施されることとなりました。KKHは、シンガポールの小児医療を全面的に担う大規模母子医療センターで、その医療水準の高さは世界的に知られています。
すなわち、世界標準の病院で日本製の器具が採用されたことは、日本の製品が世界標準と認められたことを意味します。これは単にヘルメット製造技術のみならず、乳児の頭蓋変形の健診、診断、治療および治療中のサポート体制の充実が国際的に評価された結果です。乳児の頭蓋変形は決して美容上の問題として放置するのではなく、その原因を医学的に正確に判断し、必要に応じて児の将来を考慮した介入が必要な状態です。
今回このような医学的な共通概念が相互に認識されたことは、児および家族にとって多大な恩恵をもたらします。人的交流、講演会の開催、医学的共同研究等を通じてさらなる連携の強化が進み、より多くの児にこの恩恵が広がることを願っています。
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会理事
自治医科大学とちぎ子ども医療センター
小児脳神経外科教授
五味玲先生
今回のKKH向けの研修会では、位置的頭蓋変形の自然経過、リスク因子、出生前・出生後の要因などの病態についてまず解説しました。ついで、頭蓋縫合早期癒合症について、分類や治療法の変遷、特に最近よく行われる縫合切除術+ヘルメット矯正治療の詳細を解説し、最も重要な位置的頭蓋変形との鑑別方法について実例を示しながら解説しました。
小児の位置的頭蓋変形は世界的にも増加傾向にあり、シンガポールでも例外ではないようです。また基礎疾患のある児の頭蓋変形も多い様で非常に興味を持って聴講いただきました。日本でつくられた通気性の高い軽いヘルメットが、高温のシンガポールでも非常に有用なのではないかと期待しています。
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会理事
自治医科大学附属さいたま医療センター
副センター長
周産期母子医療センター長
小児科・周産期科教授
細野茂春先生
日本においては、小児科医による頭部形態に関する専門的な研修の機会が限られております。このような状況の中、日本頭蓋健診治療研究会が教育の一環として活動しております。
本研修では、ご両親のお子様に対するご心配ごとが、単に位置的頭蓋変形の問題だけでないことを、実例を交えて説明いたしました。また、頭部形状の問題を抱えるお子様には、初回診察や治療の経過中に筋緊張の異常や発達の遅れが生じる可能性があることも示しました。ヘルメット矯正治療期間中は、頭囲の成長が治療効果に影響を及ぼす要因となるため、適切な栄養指導が必要です。また、定期的な発育および発達の評価を、小児科医によって行うことが必要であることを強調いたしました。
シンガポールの医療関係者の皆様は、日本の詳細な頭蓋健診治療システムに興味を持ち、熱心に参加くださいました。今回、シンガポールにおいては、ジャパン・メディカル・カンパニー社の製品を導入するだけでなく、日本の頭蓋健診治療システムもパッケージとして輸出し、他のアジア諸国でも普及させることが期待されます。産学連携により、さらなる発展がもたらされることを期待しております。
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会監事
0歳からの頭のかたちクリニック 顧問医師
草川功先生
KKHとの研修会では、位置的頭蓋変形症発症のリスク因子である医学的部分、そして、社会的部分について解説しました。特に、後者においては、島国で単一民族国家として成り立ってきた日本における、睡眠環境、育児環境に関する歴史的変遷を解説しました。
そもそも理想的な頭のかたちに、左右の対称性以外、絶対的なものはありません。位置的頭蓋変形症を治療する場合には、このような睡眠環境や育児環境といった社会的、文化的要因があること、民族が違えば理想的な頭のかたちも大きく変わり、絶対的なものではないこと、を認識して行わなければならないことをお話ししました。また、研修後の懇談では、今後、医学的ニーズが高まる可能性のある、神経筋疾患を持つ児へのヘルメット治療の拡大についても議論しました。
今後、シンガポールの小児医療の中心であるKKHと連携し、こういった適応拡大に向けた共同研究が進むことを期待しています。
一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会について
日本頭蓋健診治療研究会(Japan Cranial Medical Examination and Treatment Society :JCMETS)は「頭蓋健診と治療に関する会員相互ならびに内外の関連学術団体との研究連絡、知識の交換、 提携の場となることを通して頭蓋健診と治療の進歩普及に貢献するための事業を行い、学術文化の発展と頭蓋健診と治療の向上に資することで、国民の健康と福祉に寄与する」ことを活動目的に掲げ、医師、助産師、看護師、理学療法士等による任意団体です。
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当社製ヘルメットを用いたヘルメット矯正治療を行っている複数の先行医療機関の見学や、当社が行う3Dスキャン撮影およびヘルメット内部のインナークッションの調整に関する研修にも参加をし、シンガポールにおいても日本と変わりない治療が受けられるように準備を行いました。
今回の「頭のかたち外来」開設に伴い、当社にとっても海外治療第1号となるヘルメット矯正治療もスタートいたしました。
日本式の「頭蓋健診と矯正治療」が世界のスタンダードとなるよう、日星間の先生方と当社とで臨床と研究を重ね、当社のコーポレートビジョン「世界にまだない、選択肢をつくる。」の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

KK Women’s and Children’s Hospitalついて KK Women’s and Children’s Hospitalは、1858年の設立以来、シンガポール国内の産科、婦人科、小児科、新生児科を牽引するリーダーとして発展を続けています。現在、830 床のこの病院は、女性と小児の高リスク状態を管理するための三次サービスを提供する紹介センターとなっています。
約 500 人の専門家からなるチームが、多分野にわたる総合的な治療アプローチを採用し、最新の医療革新と技術を活用して可能な限りの最高の医療を提供しています。
学術医療センターでもある KKH は、世界クラスの臨床研修と研究が医療水準の向上に不可欠であると考え、同病院は世界クラスの臨床リーダーシップを達成しながら、イノベーションの文化を取り入れています。KKH は、シンガポール国内のデューク-NUS 大学院医学部(Duke-NUS Graduate Medical School)、ヨン・ルー・リン医学部(Yong Loo Lin School of Medicine)、リー・コン・チアン医学部(Lee Kong Chian School of Medicine)の主要な教育病院でもあります。同病院は、シンガポール最大の産婦人科および小児科の専門研修プログラムも運営しています。
KKHは、シンガポール国内の臨床水準を継続的に引き上げるとともに、患者がシームレスなサービスを受け、癒しの環境で思いやりのあるケアを享受できるよう、快適な病院体験の提供に配慮しています。

初診を担当する医師
Dr. Kavitha Sothirasan, Staff Physician,
Department of Neonatology, KKH