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【世界初・12万人超のビッグデータ】赤ちゃんの「頭のかたち」の常識を覆す。慶應義塾大学鳴海教授との共同研究が国際学術誌に掲載

2026.05.20

臨床研究の「数百倍」の圧倒的スケールで日本の乳児の成長曲線を構築。スマホアプリ由来のデータが、科学的根拠に基づく次世代の頭蓋健診を創出する

株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役CEO 大野秀晃、以下当社)と慶應義塾大学医学部(所在地:東京都新宿区)の鳴海覚志教授(小児科学教室)らとの共同研究の成果が、Clinical Pediatric Endocrinology誌(2026年4月号)に原著論文として掲載されました。

本研究では、当社が提供するスマートフォンアプリ「赤ちゃんの頭のかたち測定」を通じて収集された、日本人乳児127,605人分の頭のかたちデータを解析し、月齢に応じた頭のゆがみの程度(CVAI)と頭のかたちのバランス(CI)の変化を明らかにしました。12万人超という桁外れの母集団により、これまでブラックボックスだった乳児の頭のかたちの自然経過を世界で初めて高解像度に可視化しました。世界で初めて乳児に適用可能な頭蓋形状の成長曲線を提示した、今後の研究や臨床での評価の基盤となり得る重要な研究成果です。

│論文の要旨(概要)

乳児期は頭蓋が急速に成長する一方、頭のかたちの月齢変化を大規模に捉えたデータは限られていました。研究チームはアプリ由来の12万人を超える大規模データを用い、頭のゆがみの程度(CVAI)と頭のかたちのバランス(CI)を解析しました。

主な結果は以下のとおりです。

  • 頭のゆがみの程度(CVAI)は生後3~4か月でピークを示し、その後は月齢とともに緩やかに低下した
  • 頭のかたちのバランス(CI)は生後6か月頃まで上昇し、その後は大きな変化が少ない傾向となった
  • 男児は女児に比べ、頭のゆがみの程度(CVAI)が高い傾向が示された
  • 低出生体重は、頭のかたちのバランス(CI)に関連するという所見が示された
  • 標準集団(正常出生体重かつ経腟分娩等の条件で抽出)72,726人分のデータを用いて、CVAI・CIの成長曲線(10、25、50、75、90パーセンタイル)を構築した

│研究の意義:月齢に応じた評価を支える基盤データの整備

本研究は、12万人を超える圧倒的な母集団のデータに基づき、日本人の乳児における頭のゆがみと頭のかたちのバランスの「自然な経過」を可視化し、月齢に応じた評価の重要性を示しました。成長曲線は、個々の診断を置き換えるものではありませんが、頭のかたちの経時的変化を理解し、保護者への説明や経過観察を行う際の参考情報として活用されることが期待されます。

│当社と鳴海教授の取り組み:臨床と研究を往復する知見の循環と、継続する共同研究の系譜

当社は、医療機器の開発・製造・提供に加え、適正な頭蓋健診と適正なヘルメット治療の標準化・均てん化に資する学術的知見の蓄積と共有を重要な取り組みと位置付けています。鳴海教授らとの共同研究では、臨床現場の課題意識を研究へつなげ、研究で得られた知見を医療現場の説明や評価の質の向上へ還元する循環を強めてまいります。
 本論文は、慶應義塾大学医学部小児科学教室と当社が2024年度から継続的に進めてきた共同研究の大きな成果の一つであり、アプリを通じて蓄積された12万人超のデータを解析し、日本人乳児に適用可能な参照曲線を提示した点に意義があります。こうした成果を基盤に、当社と慶應義塾大学は本研究に引き続き、第二弾となる乳児の頭のかたちに関する共同研究を現在も継続して実施しています。月齢や背景因子を踏まえたより適正な評価・情報提供につながる知見の蓄積を進め、得られた成果を臨床現場へ還元してまいります。

【第一弾】2024年度~:共同研究の開始
慶應義塾大学医学部小児科学教室と当社とで共同研究契約を締結。日本における頭蓋変形のエビデンス構築の第一歩となりました。
(参照リンク:2024年度の共同研究開始に関するプレスリリース

【第一弾の成果】2026年4月:本論文の掲載
蓄積された12万人超のデータを解析し、日本人の乳児の参照曲線を世界に先駆けて提示。
(本プレスリリース)

【第二弾】現在進行中:共同研究の新フェーズ
本論文の成果を基盤に、より適正な評価・情報提供を目指す第二弾の研究も既に加速しています。
(参照リンク:共同研究 第二弾実施についてのプレスリリース

│熊本市民病院 担当医コメント

慶應義塾大学医学部 小児科学教室 鳴海 覚志教授

【略歴】
2001年 慶應義塾大学医学部 卒業
2001年 慶應義塾大学病院小児科 研修医
2003年 川崎市立川崎病院小児科 専修医
2005年 慶應義塾大学大学院 医学研究科
2009年 慶應義塾大学医学部 小児科学教室 特任助教
2016年 国立成育医療研究センター研究所分子内分泌研究部 室長
2023年 慶應義塾大学医学部 小児科学教室 教授

【認定資格・所属学会】
日本小児科学会認定小児科専門医
日本小児科学会認定小児科指導医
臨床遺伝専門医
日本小児科学会 学術委員会委員
日本小児科学会 代議員
日本小児科学会 理事
日本人類遺伝学会 評議員
日本人類遺伝学会 将来構想委員会委員
日本小児内分泌学会 理事
日本小児内分泌学会 評議員
日本小児内分泌学会 あり方委員会委員
日本内分泌学会 評議員
日本内分泌学会 Endocrine Journal編集委員
日本甲状腺学会 評議員
日本甲状腺学会 理事
日本甲状腺学会 小児甲状腺委員会委員

このたび、慶應義塾大学と株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーの共同研究の成果を論文として発表いたしました。本研究では、スマートフォンアプリ「赤ちゃんの頭のかたち測定」で記録された頭蓋形状指数のビッグデータを解析しました。
3Dスキャナーとの高い相関を確認した上で、標準的な出生体重で生まれた日本人乳児約7.3万人のデータに基づき、頭蓋形状の成長曲線を構築しました。その結果、左右のゆがみは生後3~4か月でピークに達した後に改善へと向かう傾向があること、男の子は女の子よりもゆがみが強い傾向があること、低出生体重児では長頭の傾向が6か月以降も持続することが示されました。 乳児の頭蓋形状における月齢依存的な変化が詳細に解明されたことで、今後は月齢に応じた適切な治療アプローチ(生活指導やヘルメット治療など)をより合理的に選択できるようになることが期待されます。

│掲載論文情報

掲載誌:Clinical Pediatric Endocrinology(Vol.35, No.2, 2026)
タイトル:Age-dependent changes in infant head shape: a smartphone app-based study in Japan
DOI:10.1297/cpe.2025-0076
参照リンク:https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpe/35/2/35_2025-0076/_article/-char/ja

│慶應義塾大学との連携:多診療科の専門外来と共同研究を軸に、乳児頭蓋変形診療の新たなスタンダードづくりへ

慶應義塾大学病院「赤ちゃんの頭のかたち外来」は、2024年4月に開設された、乳児の頭のかたちに関する相談に専門的に対応する外来です。同院は1981年から頭蓋縫合早期癒合症など生まれつき頭や顔に変形を伴う疾患の診療に取り組んできました。2013年に設立された小児頭蓋顔面(クラニオ)センターでは、この10年間で200例以上の頭蓋縫合早期癒合症の治療実績を有し、病的な頭蓋変形の鑑別を含めた適正な診断を行っています。
 本外来では、多くの相談を占める位置的斜頭症(向き癖等に伴う頭のかたちの変化)についても、頭蓋変形診療に熟知した医師が評価を行い、その結果に応じて同じ施設内で治療選択まで一貫して対応できる点が特長です。ヘルメット治療においても、小児科・脳神経外科・形成外科が連携して診療にあたり、必要な疾患が見つかった場合には院内で速やかに専門的対応につなげられる体制を整えています。  慶應義塾大学病院では、「赤ちゃんの頭のかたち外来」を通じて、小児科・形成外科・脳神経外科が連携しながら、乳児頭蓋変形に関する診療と研究を進めています。病的頭蓋変形を含む鑑別を踏まえた適正な頭蓋健診を行い、その知見を研究として蓄積し発信していく点が特長です。
 当社と慶應義塾大学は、乳児頭蓋変形と医療模型開発という二つの領域において継続的に連携を重ねてきました。頭蓋変形に関する複数テーマでの共同研究に加え、慶應義塾大学病院における「赤ちゃんの頭のかたち」セミナーの共催、経鼻内視鏡手術シミュレーションモデルの開発と手術技能習得効果の検証など、臨床・教育・研究の各側面で協働を積み重ねています。
(関連リリース)